厚生労働省の待機児童数値を読み解く
平成28年の年度途中(平成28年10月1日時点)の厚生労働省のプレス情報によると、平成28年4月の待機児童数は23,553人だったが、年度途中に育児休暇等により保育の申し込みをしたものの入園できない数は、10月時点で24,185人に増加しました。また、4月の待機児童数とその後の増加数を足すと47,738人となり、平成27年10月と比較して2,423人増加しています。全国的な待機児童数の動向は毎年4月1日で把握するためあくまでこの数値は自治体毎に保育所の入園手続きが異なるための参考値として集計していますが、次年度の4月1日の動向値もこの増加傾向は止まらないでしょう。
また、自治体別に見るともっとも多かったのが東京都世田谷区の1,137人(H.28.10.1)、前年に比べ▲61人ですが圧倒的に多いです。続いて岡山市、那覇市、市川市、江戸川区、板橋区、沖縄市、大分市、高松市、渋谷区と続きます。その続きを知りたい方は厚生労働省のホームページをご参照ください。待機児童の大部分は都市部に集中していて、東京、埼玉、千葉、神奈川、京都、大阪、兵庫の7都道府県と、その他の政令指定都市・中核市で全待機児童の約8割を占めています。特に、都市部は用地の問題もあるため、物理的に解決が難しい側面もありますが、政府は13年度から2年間で20万人分の受け皿を増やす目標を掲げ、約22万人分を増やした経緯もあります。しかし、それを上回る推移で2年間で申し込み者数も約18万近く増加したため待機児童も増加したというわけです。年齢や料金、条件も折り合いがつかなかった人も多くいると思います。
結局はいたちごっこ?
前述でも記載した通り、政府は保育施設の整備を具体的目標値を掲げ実行しましたが、その機運や安心感を元に申込者数も増加して保育所の供給が追い付かないというのが現状です。待機児童の定義も「保育所入所申し込みがされており、要件に該当しているが、入所していない児童」を指し、認可外保育所を利用しながら待機している児童や、特定の保育所(家から近い場所等)を希望し、保護者の私的な理由により待機している場合は、待機児童数に含めていません。また、それ以外に多数いると思われる「保育所の入所申し込みに至っていない児童」についても待機児童には含んでいないため、日本経済新聞掲載の記事(平成12年9月29日付)で指摘されている通り、潜在的待機児童数は80万人以上と推定されます。※あくまで推定です。しかし、この80万人という数値は疑いがあるにせよ、この政府が参考数値として公開している待機児童数はもっと現実的で、保護者の意思をくみ取った数値として出さなければ意味がないですね。数値が実態に合ってなくそれを参考に目標を定めても供給に対して追い付かないのは当然です。これからは、もっと保護者のニーズをうまくくみ取った保育所経営が成功のカギと言えます。
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